太井光輝 MIAスタッフ uk

ふといみつてる

太井光輝 (ふとい みつてる)

イギリスでもガーデンデザインを学ぶナイスガイ。今回通訳として参加していただいた事でより深く「庭」への愛情が深まったようです。

●周りの反応はいかがでしたか?

RHSチェルシーフラワーショーへの参加やメダル取得は英国ガーデン業界における一つのステータス。
その手伝いをさせて頂いただけでも他のガーデンデザイン学生からは羨ましがられます。

●世界の庭を体感し感じた事は?

RHSチェルシーのショーガーデンの難しさと、その成績問わずお客さんが楽しんでくれるそもそものガーデンの価値。

外国からみた日本の庭事情

今回、普段イギリスで生活する造園学校の学生という立場から、
ティーズガーデンスクエアで研修生として一ヶ月間働かせて頂きました。
経験した事、学んだ事、また感じた事はイギリスで学んでいたことと
まるで違っています。

新築のお宅の作庭を基礎づくりから植栽に至るまでほぼ全ての過程を見せて頂き、
机で勉強し本を読むことでは決して学べない学びをたくさんしました。

一般的には日本のガーデンでは植物よりもエクステリアが重視され、
また植物の管理にあまり手間を掛けたくないという傾向が強いという事実。
新築にあたって庭に木を一本も植えたくないというお客さんがいるという話を聞き、
非常に驚きました。

イギリスにおいては玄関の前に緑の空間が広がっていない事は、
その家の価値を下げる事にもつながると学んでいたからです。

高温多湿の日本の酷暑の中での作庭作業がいかに体力的な負担を

強いらされるものなのかを、思い知らされました。

毎日汗でぐしゃぐしゃになりながら、熱中症の危険さえ伴う作業は、
イギリスでの屋外作業では経験した事のないものでした。

将来日本がさらなる地球温暖化や異常気象に見舞われる事になれば、
普段から屋外作業に慣れている現場作業員はともかく、
自分の庭の管理を一年を通して楽しもうとする一般の人々の数は
さらに減っていくのではないかとも、懸念します。

業界に携わる方々から話を聞いたり、公共事業の一貫としてズタズタに
剪定された街路樹を目にしたりする中で、
いかに自然の存在が現代社会の中でいかに

ないがしろにされているかを目の当たりにしました。
人間が植物、虫、微生物、小動物、それら生態系に依存して生きているかを
忘れて自己中心的な社会づくりを推し進めているか。
虫が植物の授粉を助け、微生物が死骸を分解し、綺麗な土に戻してくれる。
それを受けて植物が成長する。

その実を鳥が食べ排泄によってまた繁殖する。
本来あるべき自然のサイクルを汚いと思ってしまう現代の人の意識や価値観を、
どうにか変えたいという意識が一層強まりました。

ガーデン1つ作っても地球環境への効果はたかが知れています。
しかし、それによって植物や自然と現代人の距離を縮める大きな意味がそこにあると思います。
将来自然と人間との共存空間としての素敵なガーデンを数多く造り、
お客さんにも地球にも喜んでもらえる地球防衛軍としてのガーデンデザイナーになりたい。
その想いが強くなりました。


私がここで学ぶことにより新たな価値を見つけたように

今後ティーズガーデンスクールで学ばれるみなさんも使命感を持って取り組まれることを願っています。